2声のインヴェンション 第12番 イ長調 BWV 783は、J.S.バッハが1720年頃に作曲した15曲の2声インヴェンション集の一曲です。装飾的な旋律書法と掛留音・解決の洗練された使い方が特徴的で、優雅で気品ある性格を持つ作品です。
ターン、モルデント、経過音などの繊細な装飾音型で彩られた主題が、声楽的でほとんどオペラ的とも言える旋律の質を生み出しています。イ長調の温かく明るい調性が、バッハの対位法技法と相まって、両声部が等しい音楽的興味を維持しています。装飾的な旋律線と明晰な対位法構造の交わりが、独特の満足感のある音楽的テクスチャーを作り上げています。
バロック鍵盤音楽における装飾法の技術を養う上で特に価値のある作品です。装飾音型を旋律線にシームレスに統合しながら、両声部のリズムの流れと対位法的な明瞭さを維持することが求められます。バロック演奏慣習の様式的な機微への優れた入門となり、優美さと構造的な堅牢性のバランスを学ぶのに最適な一曲です。
作曲年
1720
カタログ番号
BWV 783
出典
パブリックドメイン