2声のインヴェンション 第9番 ヘ短調 BWV 780は、J.S.バッハが1720年頃に作曲した15曲の2声インヴェンション集の一曲です。半音階的な動きと表現力豊かな和声語法が深い哀感を湛え、曲集の中でも最も感情的に濃密な作品の一つです。
半音進行に富んだ主題が憧憬と緊張の雰囲気を生み出し、バッハは大胆な転調や意表を突く和声進行によって、和声の暗い領域を巧みに探求しています。2つの声部の絡み合いは特に緊密で、反行する動きが音楽的なドラマ性を一層高めています。
技術的にも解釈的にも高度な要求を持つ作品であり、演奏者には成熟した音楽的感性が求められます。半音階的な声部進行、表情豊かなフレージング、そしてコンパクトな形式の中で感情的な強度を持続させる能力を養う上で、卓越した教材です。対位法の規律を通じて深い感情を表現するバッハの力量が遺憾なく発揮された一曲です。
作曲年
1720
カタログ番号
BWV 780
出典
パブリックドメイン