平均律クラヴィーア曲集第2巻の冒頭を飾る第1番フーガは、ハ長調という最も基本的な調性で書かれた3声のフーガです。第1巻の第1番フーガ(4声)とは対照的に、より軽やかで流れるような性格を持っています。第2巻全体の「序章」としての堂々とした風格と、親しみやすさを兼ね備えた作品です。
主題は順次進行を基調とした歌いやすいメロディで、3声部が自然に絡み合いながら進んでいきます。ハ長調の明るく澄んだ響きを活かしながら、各声部のバランスを保つことが演奏の醍醐味です。バッハの対位法の妙を、シンプルな調性の中で味わえる入門的な名曲です。
第2巻の入口にふさわしい堂々としたテンポで演奏しましょう。主題の各音をはっきりと弾きながらも、フレーズ全体の流れを大切に。黒鍵が少ないため指使いは比較的楽ですが、その分各声部の独立性を明確にする技術が求められます。
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