「漁師の娘」(Das Fischermädchen)は、フランツ・シューベルトの歌曲集《白鳥の歌》D.957の第10曲で、1828年、シューベルト最晩年に作曲されました。テキストはドイツ・ロマン派を代表する詩人ハインリヒ・ハイネによるものです。
変イ長調、6/8拍子の優美な舟歌(バルカローレ)のリズムで書かれており、波に揺れる小舟の動きが巧みに表現されています。歌い手は若い漁師の娘に、船を降りて岸に来るよう誘いかけ、自分の胸に頭をもたせかけるよう語りかけます。音楽は誘惑的な魅力を湛えながらも、ハイネの詩に特徴的な、表面的な美しさの奥に潜むメランコリーを感じさせます。
揺れるような伴奏が穏やかな海辺の情景を描き出し、声楽パートは親密で説得力のある旋律を紡ぎます。《白鳥の歌》のハイネ歌曲の中でも特に叙情的で親しみやすい作品です。
作曲年
1828
カタログ番号
D.957
出典
パブリックドメイン