「あふれる涙」(Wasserfluth)は、シューベルトの歌曲集《冬の旅》D.911の第6曲で、1827年にヴィルヘルム・ミュラーの詩に基づいて作曲されました。放浪者が雪の上に落ちる自分の涙を見つめ、その涙が恋人の住む街まで流れていくさまを想像する、荒涼とした歌です。
遅く引きずるようなテンポと簡素なピアノの響きが、深い悲しみと感情の麻痺の雰囲気を生み出しています。声楽パートは重く計られた歩みで進み、冬の風景を疲れ果てて歩く放浪者の姿を映し出します。シューベルトの和声語法は特に表現力豊かで、思いがけない転調が絶望的な憧れの感覚を一層深めています。
作曲年
1827
カタログ番号
D.911
出典
パブリックドメイン